環境配慮 [アイデアとレジン解説]

レジンの基本
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硬化液体の環境配慮 [綺麗なレジン解説]

硬化液体を使ったものづくりを楽しむ上で、環境への配慮は非常に重要です。
このページでは、環境への影響や、安全な取り扱い方法、廃棄方法など、初心者から上級者まで知っておくべき知識を紹介することで、使用者が安心して硬化樹脂を楽しめるように書いてみました。

液体はとにかく素手で触っちゃだめだよ
液体を光照射して硬化した物と未硬化の性質は違うよ
しっかりと硬化した作品は基本的に安全だよ

 

環境への影響 [レジン解説]

 

アクリル系の合成樹脂を主成分としており、製造過程や使用時、廃棄時に環境への影響が懸念されます。具体的には以下のような影響が考えられます。

  化学物質の排出

主成分であるアクリル系樹脂は、製造過程で化学物質が排出される可能性があります。これらの化学物質が水質や大気を汚染する恐れがあります。

作業を行う際、化学物質の排出に関する注意が必要です。硬化剤には、揮発性有機化合物(VOC)が含まれており、これらが作業中に空気中に放出される可能性があります。これらの化学物質は、健康に悪影響を及ぼすことがあるため、適切な対策を講じることが重要です。

まず、作業スペースは十分に換気を行い、空気の流れを確保しましょう。窓を開けたり、換気扇を使用することで、化学物質を効率的に排出できます。また、作業中は必ずマスクを着用し、蒸気を吸い込まないように注意します。

作業後も換気を続けることが大切です。硬化が進んでも、残留する化学物質があるため、数時間は換気を行いましょう。汚れた手や道具は、すぐに適切に処理し、周囲を清掃することも忘れずに。これらの対策を実施することで健康を守ることができます。

 

  プラスチックごみの発生

液体樹脂で作られた製品は、使用後に廃棄物となり、プラスチックごみの増加につながります。

プラスチックごみの発生は、環境問題として深刻な課題です。特に液体素材を使用する際に発生するプラスチック廃棄物は、適切に管理されないと大きな影響を及ぼす可能性があります。

未使用の材料や使用後の道具、パッケージなどがプラスチックごみとして生じます。これらは、通常のゴミとして捨てることができない場合が多く、特別な処理が必要です。プラスチックのリサイクルが難しいため、廃棄物を減らすための工夫が求められます。

まず、作業前に必要な材料を適切に計画し、無駄を減らすことが重要です。また、再利用可能な道具や容器を使用することで、プラスチックごみの発生を抑えることができます。さらに、使い終わったプラスチック製品は、地域のリサイクルプログラムに従って適切に処理しましょう。

 

  有害物質の含有

着色剤や硬化剤などの添加物が含まれており、これらに有害物質が含まれている可能性があります。

硬化樹脂には有害物質が含まれていることがあり、使用時には環境への影響にも注意が必要です。未硬化の液体には揮発性有機化合物(VOC)やアレルゲンが含まれており、これらは皮膚や呼吸器に刺激を与える可能性があります。また、廃棄された場合、環境中で分解されにくく、土壌や水質を汚染するおそれがあります。

作業を行う際は、まず使用する液体の成分を確認し、その危険性を理解することが重要です。換気の良い場所で作業し、窓を開けたり換気扇を使用したりして、揮発した有害物質を排出しましょう。さらに、手袋や保護メガネを着用し、直接接触を避けることが大切です。

作業後は、使用した道具や手をしっかり洗浄し、残留物を取り除くことで健康リスクを軽減できます。また、不要な廃棄物は適切に処理し、環境への影響を最小限に抑える努力が求められます。これらの対策を講じることで環境を守ることができます。

  リサイクルの困難性

熱可塑性プラスチックとは異なる性質を持つため、リサイクルが困難

樹脂のリサイクルは、いくつかの理由から困難です。まず、熱硬化性プラスチックであり、一度硬化すると再び溶かすことができません。この特性により、一般的なプラスチックリサイクルのプロセスが適用できず、廃棄物として処理されることが多いです。

さらに、製品には添加剤や顔料が含まれることがあり、これらがリサイクルプロセスを複雑にします。異なる成分が混ざることで、リサイクル材料の品質が低下し、再利用が難しくなることがあります。

また、リサイクル施設自体が十分に整備されていない地域も多く、適切な処理が行われない場合があります。このため廃棄物が埋立地に送られ、環境への影響を及ぼすことが懸念されています。

リサイクルを促進するためには、使用後の製品を適切に処理し、リサイクル可能な材料を選ぶことが重要です。また、研究開発を進め、新しいリサイクル技術を導入することが求められています。これらの取り組みにより、リサイクルの困難性を克服し、持続可能な社会を実現することが可能になります。

 

このように、環境への様々な影響が考えられるため、適切な取り扱いと廃棄が重要となります。
液体をそのまま捨てることは評価されません。廃棄するときは出来る限り硬化させてから自治体のルールに基づいて処分する必要があります。

 

 

液体素材にはいろんな成分が含まれているよ
アレルギーにならないように注意が必要だよ
捨てるときも環境配慮が大切だよ

 

安全な取り扱い方

安全に取り扱うためには、以下のような点に注意する必要があります。

  換気の確保

作業を行う際、換気の確保は非常に重要です。硬化剤には揮発性有機化合物(VOC)が含まれており、これが気化すると空気中に放出されます。これらの化学物質を吸引すると、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、十分な換気が必要です。

作業を始める前に、作業スペースを選ぶ際は風通しの良い場所を選びましょう。窓を開けて新鮮な空気を入れることが基本です。また、換気扇を使用することで、空気の流れを作り、揮発した物質を効率的に排出できます。

作業中は、定期的に換気を行い、空気の入れ替えを意識しましょう。特に硬化素材を混ぜる際や注入する際には、換気を怠らないことが大切です。作業後も、数時間は換気を続けることで、残留する化学物質を取り除きます。

これらの対策を講じることで、安全に作業を楽しむことができ、健康を守ることができます。

 

  皮膚への接触防止

皮膚に付着すると、アレルギー反応や皮膚の炎症を引き起こす可能性があります。作業時は必ず手袋を着用し、皮膚への接触を避けましょう。

 

  目への曝露防止

扱う際はUVライトの光に直接目を曝さないよう注意が必要です。目に入ると炎症を引き起こす可能性があります。保護メガネの着用が推奨されます。

目への曝露防止は非常に重要です。液体素材には刺激性のある化学物質が含まれており、目に入ると痛みや炎症を引き起こす可能性があります。そのため、作業中は必ず保護メガネを着用することが推奨されます。

保護メガネは、目をしっかりと覆い、飛散した液体や蒸気から守る役割を果たします。混ぜたり、注入したりする際は、注意が必要です。作業中は、手元に集中することが多く、意図せず目に触れることがあるため、保護具の着用が欠かせません。

また、作業環境を整え、換気を行うことで、蒸気の濃度を下げることも大切です。定期的に休憩を取り、目を休ませることも効果的です。万が一、目に入った場合はすぐに流水で洗い流し必要に応じて医師の診察を受けることが重要です。

これらの対策を講じることで、安全に作業を楽しむことができ、目の健康を守ることができます。

  適切な服装

長袖、長ズボン、などの適切な服装を着用し、皮膚への接触を最小限に抑える

作業を行う際には、適切な服装が非常に重要です。まず、肌を保護するために長袖のシャツや長ズボンを着用することが推奨されます。液が飛び散った場合でも、肌への直接接触を避けることができます。

次に、作業用のエプロンや保護服を着ると、衣服を汚れから守ることができます。特に一度つくと取り除くのが難しいため、専用の作業服を用意するのも良いでしょう。

足元には、滑りにくい靴を選ぶことが重要です。作業中に液体がこぼれることがあるため、汚れに強い素材の靴を履くことで、安全性が向上します。

さらに、手袋や保護メガネも忘れずに着用しましょう。手袋は化学物質から手を守り、保護メガネは目を守る役割を果たします。これらの適切な服装や装備を整えることで健康リスクを軽減できます。

これらの安全対策を講じることで、液体樹脂などを安全に取り扱うことができます。

 

硬化していない液体素材の廃棄方法

 

適切に廃棄することも重要です。一般のプラスチック廃棄物とは異なる特性を持つため、以下のような方法で廃棄する必要があります。

  地域の条例に従う

廃棄方法は地域によって異なるため、自治体の条例に従って適切に処理しましょう。

  焼却処理は避ける

焼却処理すると有害な化学物質が大気中に放出される可能性があるため、避けるべきです。

廃棄には特別な配慮が必要ですが、適切な方法で処理することで、環境への影響を最小限に抑えることができます。

 

環境配慮製品

 

近年、環境に配慮した製品が登場しています。これらの製品は、以下のような特徴を持っています。

植物由来の原料使用

石油由来の原料ではなく、植物由来の原料を使用している液体素材もあります。これにより、環境への負荷を低減することができます。

無添加・低VOC

着色剤や硬化剤などの添加物を含まない、または低VOC(揮発性有機化合物)も登場しています。

リサイクル可能

熱可塑性プラスチックと同様の性質を持つものもあり、リサイクルが可能です。

これらの環境配慮製品を選択することで環境負荷を大幅に低減することができます。

 

環境認証

 

環境配慮を示す認証として、以下のようなものがあります。

EcoLogo認証

EcoLogo認証は、環境に配慮した製品やサービスに与えられる国際的なエコラベル

この認証は、製品が環境基準を満たしていることを示し、消費者に対して持続可能な選択肢を提供します。

EcoLogo認証を取得するためには、厳格な基準をクリアする必要があります。これには、製品の製造過程での環境負荷の評価や、有害物質の使用制限、リサイクル可能性などが含まれます。認証を受けた製品は、環境に優しいことが証明されており、消費者が安心して購入できるポイントとなります。

この認証は、特にプラスチックや化学製品など、環境に影響を与える可能性のある製品において重要です。消費者がEcoLogo認証を選ぶことで、持続可能な製品の普及が促進され、環境保護に寄与することができます。

製品の中にも、EcoLogo認証を受けたものがあり、環境への影響を考慮した選択が可能です。このような製品を選ぶことで、持続可能なライフスタイルを実現する一助となります。

 

ISCC+認証

ISCC+認証は、持続可能な資源管理と循環経済を促進するための国際的な認証制度

この認証は、バイオマスや再生可能資源が使用されていることを証明し、製品が環境や社会に配慮した方法で生産されていることを示します。

ISCC+認証を取得するためには、厳格な基準を満たす必要があります。具体的には、持続可能な農業や森林管理、温室効果ガスの削減、労働環境の改善などが求められます。この認証を受けた製品は、サプライチェーン全体でのトレーサビリティが確保されており、消費者は安心して選ぶことができます。

特に、化学製品やプラスチック業界において、ISCC+認証は重要です。再生可能な原材料を使用した製品は、環境負荷を低減し、持続可能な資源の利用を促進します。

消費者がISCC+認証を選ぶことで、持続可能な製品の普及を支援し、環境保護に貢献することができます。これにより、より良い未来を実現するための一歩となるでしょう。

バイオマス由来の原料を使用した液体素材の製造工場が取得する認証で、持続可能性と環境保護を示しています。

 

これらの認証を取得した製品は、環境に配慮されていることが保証されています。

 

環境負荷低減対策

 

硬化樹脂の環境負荷を低減するための対策としては、以下のようなものが考えられます。

  バイオマス由来原料の使用

植物由来の原料を使用することで、石油由来の原料に比べて環境への影響を低減できます。

  リサイクル可能な製品の選択

熱可塑性プラスチックと同様の性質を持つ素材を選択することで、製品の廃棄時にリサイクルが可能になります。

  適切な廃棄方法の実践

廃棄には特別な配慮が必要ですが、地域の条例に従って専門の廃棄業者に依頼することで、環境への影響を最小限に抑えることができます。

  安全な取り扱いの徹底

使用時に換気の確保や皮膚・目の保護など、適切な安全対策を講じることで、健康被害を防ぐことができます。

これらの対策を組み合わせることで、環境負荷を大幅に低減することができます。

販売されている素材の説明文をしっかりと見る必要があります。選んだ液体素材が環境配慮がなされた製品なのか分かりにいという状況かと思います。

 

環境配慮しながら楽しもう

もし、硬化樹脂のアレルギーや環境配慮が社会問題になってくると
レジン分野そのものに影響がでるかも…

 

 

ものづくりの世界で広く使われている素材ですが、その製造や使用、廃棄に伴う環境への影響が懸念されています。しかし、近年では環境配慮型の製品が登場しており、適切な取り扱いと廃棄方法を実践することで安心して楽しむことができます。

環境への影響、安全な取り扱い方、適切な廃棄方法、環境配慮製品、環境認証、そして環境負荷低減対策について詳しく解説しました。これらの知識を活かして環境に配慮しながら楽しめると有意義だとおもいます

硬化樹脂を使ったものづくりは、創造性を発揮できる素晴らしいもの作りです。環境への配慮を忘れずに、安全に、そして楽しく取り組んでみてくださいね。

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